2014年2月21日金曜日

15.オーム(ओम् [om])- 全て(ブランマン)の音のシンボル

ओम्
[om]


indeclinable - 全て(ブランマン)の音のシンボル





この言葉は、「神」という言葉と並んで、

「一番大事な言葉なのに、一番誤解されている言葉」でしょう。

単なる誤解だけではなく、正しい認識への扉を閉ざしてしまう弊害のある、

間違った認識がはびこっている言葉とも言えます。

この大事な言葉にこびり付いているサビを、少しずつ落として行きましょう。


よくある間違い その1:伸ばしすぎる


表記から分かるように、「オー」の音は、2拍の長音です。

インドでは、ヨガスクールのみならず、どこのアシュラムでも、

「オーーーーーーーーーーーーム」と息の続く限り伸ばすようですが、

それは間違いです。

伸ばしたかったら、3拍まではOK。その場合は、「ओ३म् [o3m] 」と表記します。

何で伸ばしちゃいけないの?と思われるかもしれません。

それには、しっかりした文法的な意味があるのです。

それは、下記の、文法的意味の展開で勉強しましょう。



よくある間違い その2:「アウム」になっている



「ओम् [om] - オーム」の音は、

「A」「U」「M」の3つの音から成ります。

そこまではいいのですが、「A」「U」を続けて言うと、

発声学的法則に従って、「O」になります。

それぞれ離して「A」「U」と発音する事は許されていません。



よくある間違い その3:表記の形に意味があると思われている



「ओम् [om] - オーム」はよく、「ॐ」と表記されます。



この表記自体には問題はありません。

しかし、この言葉は、音として意味を成す言葉です。

特に、独自の表記法を持たない、口伝のみによる伝承を守るサンスクリット語では、

どのような表記文字の形にも、意味を持たせる事はありません。

少なくとも、正統な知識の伝承の中には、そのような事は有り得ません。


では、伝統で教えられている、正しい「ओम् [om] 」の意味を見て行きましょう。

意味の展開には、3種類あります。


1.文法的意味:


अवति रक्षति इति ओम् ।
avati rakṣati iti om |

अव् [av] to protect (守る)という動詞の原形から派生したとされます。

そこに、मन् [man] (~する人)という接尾語を足します。

あわせると、「守る人」となります。

最終的に守ってくれる人、頼りになる人、それは全てであるブランマン。

それ以外のものは、無常で、頼れるようには出来ていない、ってことです。

ちなみに、मन् [man] (~する人)は、ブランマンや、アートマンの「マン」です。

ここでは、「man」の「an」の部分が落ちてしまいます。

そして、「av」も「au」となり、さらには「o」となって、

「o」+「m」で、「om」となるわけです。


こちらも:サンスクリットを習い始めた人に、どうか知って欲しいあれこれ

2.音声学的意味


「ओम् [om] - オーム」の音は、

「A」「U」「M」の3つの音から成ります。

「A」に「U」が続くと、サンディで「O」になりますね。

この世に在る全ては、名前と形のみ、すなわち、知識のみであり、

全ての言語の全ての名前は、始まりの音「A」と、終わりの音「M」の間にある。

すなわち、「A」と「M」の間に、全てがあるので、

「ओम् [om] - オーム」は、宇宙にある全てのものの名前の略語、総称に等しい、

というわけです。

これって、パーニニ文法のブラッティヤハーラみたいですね。

日本やアジア圏全般の寺院で見られる狛犬の口の形も、

一方が「ア」と開けていて、他方は「ン」で閉じている。

(日本語の「ン」には、MとNの区別が無いんですね。)

それにも、同じような意味が与えられていると聞きました。


3.マーンドゥーキャ・ウパニシャッドで教えられている意味


「ओम् [om] - オーム」の音は、詳しく言うと、

「A」「U」「M」「無音」の4つから構成されます。

4つ目の無音は、最初の3つにも共通して存在しますね。

無音と言うベースがあって、そこに、「A」「U」「M」の3つが表現されているのです。

個人の立場から見ると、

「A」が起きている世界。感覚器官を使って、外にある物理的な世界と関わり、経験している個人。

「U」が夢の世界。物理的ではなく、心理的に認識し、経験している個人。

「M」が、熟睡している世界。物理的にも心理的にも、何も認識できず、

ただただ、自分を個人たらしめている個別性の不在を経験している個人。

人間の経験というものは、生きている間ずっと、毎日、毎秒、

この3つの内のどれかに属しています。

これらの経験は、私達が通常言う「現実」です。

しかし、これら3つの現実は、互いに共存出来ず、1つがあれば、もう1つはない、

互いに否定しあっている存在です。

ということは、この内のどれも、絶対的な存在では無いのです。

なのに、私達は、これら3つを「現実」と呼んでいるのです。

じゃあ、私って、誰なのか?本当の「現実」とは?

この3つの経験している個人を、最終的に傍観している、存在。

それが、「無音」で示されている、個人の本質なのです。

繰り返しますが、経験というものは全て、先の3つのどれかに属しています。

「トゥリーヤ」と呼ばれる4つ目は、経験ではありません。

本当は、4つ目など無いのです。

なぜなら、先の3つのうちのどれも、絶対的な存在は持ち合わせていないからです。

1、2、3と数えられるステータスさえ、本当の意味では、持ち合わせていないのです。

シャンカラーチャーリアは、この4番目を「मायासङ्ख्या [māyāsaṅkhyā]」,

直訳すると、「マジック・ナンバー」と呼んでいます。


3つの音、あるいは3つの経験の、どれでもない、

それらに共通する「無音」が自分の本質であることを「知る」ために、

4つ目に「無音」を持ってきて、私達を分からせようとしているのです。


== ओम् [om] - オーム   が使われている文献 ==


ヴェーダマントラは全て、「ओम् [om] - オーム」から始まります。

全ての文献が伝えようとしている事は、この「ओम् [om] - オーム」の意味に他なりません。

でも、しいて言うなら、、、

カタ・ウパニシャッド 1章2節15句

少年ナチケータに真剣にせがまれて、死神ヤマ・ラージャーが、
ブランマヴィディヤーを教えているところ。

सर्वे वेदा यत्पदमामनन्ति । तपाँसि सर्वाणि च यद्वदन्ति ।
यदिच्छन्तो ब्रह्मचर्यं चरन्ति । तत्ते पदं सङ्ग्रहेण ब्रवीमि । ओमित्येतत् ॥
sarve vedā yatpadamāmananti | tapām̐si sarvāṇi ca yadvadanti |
yadicchanto brahmacaryaṃ caranti | tatte padaṃ saṅgraheṇa bravīmi | omityetat ||

”その達成すべきものについて、全てのヴェーダは語っている。
それを得るための手段として、タパス等を(ヴェーダは)教えている。
それを切望している人々は、ブランマチャリアの生活(先生の下での生活)をする。
それについて、手短に教えよう。それは―――「ओम् [om] - オーム」。”

手短過ぎる!

16句から、一音節であるオームについての説明が始まります。


バガヴァッド・ギーター 17章23節

ओं तत्सदिति निर्देशो ब्रह्मणस्त्रिविधः स्मृतः ।
ब्राह्मणस्तेन वेदाश्च यज्ञाश्च विहिताः पुरा ॥
oṃ tatsaditi nirdeśo brahmaṇastrividhaḥ smṛtaḥ |
brāhmaṇastena vedāśca yajñāśca vihitāḥ purā ||

”「Om Tat Sat」は3語から成る、ブランマンの表し方である。
ブランミン(儀式をする人)、ヴェーダ、儀式は、
この3語によって(始まり、終わるように)教えられている。”

この章の中で、サットヴァなカルマとは何かというのを説明しているところです。
この3語(オーム、タット、サット)に関するカルマは、全てサットヴァである、
と教えられているのです。


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サンスクリット語の代名詞、エータドの男性形、第一格、単数形です。

文献で、それが表すものは、とても近いもの、例えば自分です。





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「くちびる」というサンスクリット語の言葉です。

発声法においてとてもよく出てくる言葉ですよ。


オームといえば、、
サンスクリットは発音が大事!第2弾 
「ハリオ~ム」は「ハリヒ・オーム」

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