ईशः
[īśaḥ]
全世界、全宇宙を統治しているのが、イーシャ(ईशः [īśaḥ])です。
インド文化の源であるヴェーダは、 イーシャという言葉から、
物理の法則や、生物学の法則など、あらゆる法則の形として
<< 前回の言葉 6.इह [iha] - イハ <<
ヴェーダの教える、この世とあの世、天国の世界観
>> 次の言葉 8.ईश्वरः [īśvaraḥ] - イーシュワラ >>
ヴェーダーンタを勉強する上で、絶対はずせない言葉。
ゆっくり勉強しながら、ヨーガの生活を生きながら、
意味の理解を深めていきましょう。
[īśaḥ]
masculine - 統治者
イーシャの語源
「司る、治める、権力を持つ」という意味を持つサンスクリット語の動詞の原形、
「イーシュ(ईश् [īś])」から派生した名詞です。
「イーシュ(ईश् [īś])」から派生した名詞です。
「イーシュ」(司る)に、「ア」(~する者)という接尾語が付いて、
「イーシャ(ईश [īśa])」「司る者」という名詞の出来上がりです。
(パーニニ・スートラ 3.1.135 のルールに拠る)
イーシャとは
全世界、全宇宙を統治しているのが、イーシャ(ईशः [īśaḥ])です。
「全ての統治者、全てを司る者」と言われると、
「私は統治されてるの?私は彼に仕えてる訳ですか?」
と理不尽な上下関係のように思ってしまうかも知れません。
上司や、義父母や、その他の権力者から理不尽な服従を、
日頃から十分強いられているんですが!
イーシャの意味を教えるヴェーダ聖典
インド文化の源であるヴェーダは、 イーシャという言葉から、
私達に何を伝えようとしているのでしょうか。
手に持っているリンゴを、手から離すと、
重力の法則に従って、
リンゴは地球の中心の方へ落ちていきます。
リンゴは地球の中心の方へ落ちていきます。
両方の手のひらを、勢い良く同じ場所に持っていくと、
物理の法則に従って音がなります。
リンゴの落下、拍手の音、これらが「結果」です。
結果を出しているのは誰か?
物理の法則や、生物学の法則など、あらゆる法則の形として
結果を出すのがイーシャの仕事です。
「私が落とした」「私が鳴らした」と思っているけれども、
結果を出したのは、全宇宙の原因と結果のネットワークを司っている、
イーシャの仕事なんですね。
イーシャの仕事なんですね。
自由意志
では、どこからどこまでが私の仕事なのでしょうか?
自由意志を使って、「これをこうする/しない」と決めるところまでです。
自由意志を使って、「これをこうする/しない」と決めるところまでです。
あとは委ねてしまって、結果をグレースフル(優雅)に受け止めるだけです。
自分の自由意志も、結局は過去の結果に縛られている訳だから、
自由意志を使ってるとは言えないのでは?
もちろんそうです。意志が使える範囲は、自分では決められません。
しかし、”あたかも”であっても、意志は自分が自由に使えるように出来ているのです。
自由意志は私達が使う為にあるのです。
「自由意志なんて本当は無いんだから、
自分でもう何も決めな~い」と自堕落になるのはお馬鹿さんですね。
与えられた状況把握力と判断力をもって、
ベスト・オブ・ナレッジ(状況下で出来る限り)で、
自由意志を誠実に使いこなす事以外に、
私達がする事は無いのです。
因果関係の絶対確実性 - だから安心して委ねられる
今までに見たように、イーシャとは、
「全宇宙の原因と結果のネットワークを司っている者」の事です。
という事はつまり、イーシャとは、
「全宇宙の原因と結果のネットワークそのもの」の事です。
つまり、この宇宙の全ての、全ての時間の、全ての知識です。
全ての知識でなければ、私達みたいに、「うっかり」間違いをしてしまいます。
全ての統治者である「イーシャ」とは、
ここにあるもの全てのそのものを指しているので、
その統治は「infallible(絶対的確実性)」なのです。
寸分の狂いも無く、確実に結果を出す(infallible)「イーシャ」を、
物理や生理や心理などの法則として、
自分の中にも、他人の中にも認識する時、
そこには本当の意味でのリラックスがあります。
この認識が「ナマハ(नमः [namaḥ] )」なのです。
「イーシャーヤ・ナマハ」
「イーシャ」の意味を知れば知るほど、
この宇宙の動きの全てに浸透している「絶対的確実性」が見えてきて、
それに委ねて、それに安心して、
あらゆる宇宙の動きに対して、感謝と、祈りが生まれるのです。
<< 前回の言葉 6.इह [iha] - イハ <<
ヴェーダの教える、この世とあの世、天国の世界観
>> 次の言葉 8.ईश्वरः [īśvaraḥ] - イーシュワラ >>
ヴェーダーンタを勉強する上で、絶対はずせない言葉。
ゆっくり勉強しながら、ヨーガの生活を生きながら、
意味の理解を深めていきましょう。