2014年2月17日月曜日

12.リク(リグ)(ऋक् [ṛk] )- マントラ、韻文

ऋक् 
[ṛk]

feminine - マントラ、韻文


ヴェーダのマントラを指す言葉です。

パームリーフに書かれた文献

リグの語源


ऋच्छति स्तौति इति ऋक् । ṛcchati stauti iti ṛk |
「賛美する」のが「リク」、すなわちマントラです。

誰を賞賛しているのかと言うと、デーヴァター達です。


ヴェーダに登場するデーヴァターとは


デーヴァター達とは、重力や、生理機能や、心理機能という形で、

宇宙全体で働き続けている、様々な法則のことです。

「ヴァルナ」と言う名ののデーヴァターは、浄化作用を主に担当しています。

「ヴァーユ」と言う名の風のデーヴァターは、動力を担当しています。

知識のデーヴァターは、「メーダー」と言う女神です。

彼女の担当は、3つ。

1.知識の正しい把握と理解、
2.その記憶、
3.そして、記憶した事を必要な時に取り出せる力
です。

ちなみにこれは、プージャ・スワミジが、私にくれた名前です。

太陽神「スーリヤ」は視覚担当、火の神様「アグニ」はメッセンジャー。

光に関わる原理、つまり視覚、言語伝達、
間違った認識を燃やし尽くし、正しい理解を照らす、
太陽神「スーリャ」
火の儀式で、捧げられたものを燃やし、
各デーヴァターに向けて届けて回るのがアグニのお仕事。
走るのが速いことになっているのだけれど、迅速感あふれる絵はみつかりません。
誰か描いてください!

デーヴァター達との正しい関わりあい方を教えるのが聖典ヴェーダ


皆、365日休み無く、宇宙全体で、私達の身体の中でも、働き続けてくれているのです。

私達の身体や心、家族や社会が健康に機能し、

雨風や森や海や星が、私達の幸せを支えてくれるように機能しているのは、

全て、デーヴァター達の働きのおかげです。

そんなデーヴァター達に、「有難うございます。これからも何かとどうかよろしくお願いします。」

という気持ちの表現が、「デーヴァター達への賞賛・賛美」なのです。

誰だって、「あなたって素敵!出来る人ね!」と褒められると、やる気が出てくるものです。

ましてや、贈り物を捧げられたり、特別に優待されたら、もう、何が何でも張り切ってしまうものです。

それは、人間はもちろん、動物だって、植物だって、そしてデーヴァターだって同じ事です。

生きているものは全て、褒められたいものだっていうのは、面白い事実ですね。

褒め方にもいろいろあって、下手な事を言って、カチンとこられては大変ですから、

「こういう風に賛美すればよい」と教えてくれているマニュアルが、ヴェーダなのです。


デーヴァへの賛美とは?


こう書くと、おべっかを使って、自分の思うように物事を動かそうとしているように見えますが、

もし、動機がそうであっても、最初はそれで構わないのです。

デーヴァターへの賛美の言葉や贈り物を捧げているうちに、

全ての中にデーヴァターを見られるようになるのです。

普通誰もが持っている、「自分が頑張ってやっている!」という態度や、

「世界VS自分」という、緊張とストレス、アップ&ダウンの人生観から、

「全てはデーヴァターによって動かされている」

「自分の能力も、功績も、全てはデーヴァターの働き」という、

謙虚で、視野の広い世界観にシフトして行くのです。

この世界観のみが、本当の意味で平和で、客観的な心を作ってくれるのです。

それは、一日にして成るものではありません。

毎日の生活の中で、デーヴァターと正しく関わり続ける為の生き方を、

ヴェーダは教えてくれているのです。

ヴェーダは、言葉から成る文章によって構成されています。

ヴェーダの中の、韻文の一句の単位を、ऋक् [ṛk] (リク)と呼びます。


子供の幸せを願い続け、「こうすればいいのよ」と教え続ける母、シュルティ(ヴェーダ)


「シュルティ(ヴェーダのこと)」や「ウパニシャッド」が

女性名詞であるように、「リク」もやはり女性名詞です。

前回の「ウマー」でも見たように、知識を授ける役割の象徴は、女性なのですね。

Compassion(救いたいと願う深い思いやり)に溢れる、

母のような存在が、知識の女神、サラスヴァッティーです。

「シュルティ」は、「あなた自身の幸せを願う母親の100倍の存在」という言葉で説明されます。

幸せの追求において、無知や混乱にまみれているが故に、人々は奔走を続けます。

その中で稀に、「自分ではどうにもならない」ことを見極め、助けを求める人がいます。

助けを求めに来た人に対して、

「お馬鹿な事ばっかり繰り返してるから、こんな事になるんでしょ!もう知らない!」

と見捨てる事をせず、

「仕方ないわねぇ」と、

何回でも解かるチャンスを与えてくれるのが、

Compassion溢れる母親である、「シュルティ」なのです。

そして、シュルティの中にある、マントラ(韻文)の部分が「リク」と呼ばれるのです。


== ऋक् [ṛk] - リク(リグ)が使われている文献 ==

バガヴァッド・ギーター9章17節


वेद्यं पवित्रमोङ्कार ऋक्साम यजुरेव च ॥
vedyaṃ pavitramoṅkāra ṛksāma yajureva ca ||

私(バガヴァーン)は、知られるべきもの(vedyaṃ)である。

それは、全てであり(oṅkāraḥ)、その知識は知る人を清める(pavitram)

(つまり、知る人の本質が、何からも影響を与えられないブランマンだと分かる)。

そして、私はリグヴェーダであり、サーマヴェーダ、ヤジュルヴェーダである。

(知識を教える知識体系である。)





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真実という意味のサンスクリット語。

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「~だけ」と限定するサンスクリット語です。

インド哲学では限定にも何種類もあるのですよ。

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