गुरुः
[guruḥ]
現代では、音楽や舞踊そしてヨーガや瞑想の先生もグルと呼ばれますが、
伝統的には、下記のシュローカ(詩節)にある意味が示すように、
自分の本質の正しい知識について教える先生が、グルと呼ばれます。
गुकारस्त्वन्धकारो वै रुकारस्तन्निवर्त्तकः ।
gukārastvandhakāro vai rukārastannivarttakaḥ |
अन्धकारनिरोधित्वाद् गुरुरित्यभिधीयते ॥
andhakāranirodhitvād gururityabhidhīyate ||
gukāraḥ(グの音)vai(まさに)andhakāraḥ(暗闇)
tu(一方)rukāraḥ(ルの音)tannivarttakaḥ(その暗闇を追い払う者)|
andhakāra(暗闇と)nirodhitvād(相反するものであることから)
guruḥ(グル)iti(として)abhidhīyate(呼ばれています。) ||
「グ」の音は「暗闇」を表し、「ル」の音はそれを追い払うもの(光)を表す。
「グル」とは、暗闇(無知)に反するもの(知識の光)を表すことから、
(そのような人、つまり先生は)グルと呼ばれる。
自分の身体や心については、ある程度のことは誰でも知っています。
そして、自分とは身体のことだ、とか、自分とは心のあり方のことだ、
と自分の本質を身体や心と取り違えています。
なぜかと言うと、自分の身体や心を見続けている、
本当の自分、自分の本質は、暗闇の中に隠されているからです。
ちょうど、暗い映画館で、銀幕の中の世界にのめり込み過ぎて、
ヒーロー/ヒロインを自分自身だと取り違えている人のようです。
自分自身のことは、真っ暗なので分からないのです。
この自分自身に対する無知の暗闇が「グ」です。
それを取り払ってくれる光が「ル」です。
光と暗闇は相反するので共存できません。
同じように、知識と無知は相反するので共存できません。
無知を追い払いたければ、知識しかないのです。
その知識を教えてくれる人のみが、グルと呼ばれるのです。
गुरुर्ब्रह्मा गुरुर्विष्णुर्गुरुर्देवो महेश्वरः ।
gururbrahmā gururviṣṇurgururdevo maheśvaraḥ |
गुरुरेव परं ब्रह्म तस्मै श्रीगुरवे नमः ॥
gurureva paraṃ brahma tasmai śrīgurave namaḥ ||
guruḥ(グルは)brahmā(創造主ブランマージーである)
guruḥ(グルは)viṣṇuḥ(この宇宙を維持しているヴィシュヌである)
guruḥ(グルは)maheśvaraḥ(マヘーシュヴァラ、シヴァ)devaḥ(神である)
グルって、私に教えてくれる先生なんだから、人間じゃないの?
このシュローカでは、絶対神!みたいな名前のオンパレードです。
グルと呼ばれている、身体を持った人間が、
それらが全ての神々だという意味のシュローカです。
これってどういう意味なのでしょうか。
ブランマー、ヴィシュヌ、シヴァという三大神は、
見え方は3つそれぞれ別々ですが、本質はひとつです。
ひとつであるゆえに、他のものがない事から、その本質は絶対的本質です。
それぞれ異なる見え方は、相対的なものであり、それゆえに本質ではないのです。
ブランマーも、ヴィシュヌも、シヴァも、ここにある全てのことなのですから、
それらの本質が、ひとつの絶対的な本質なら、
それは、グルという人間の本質でもあるはずです。
ゆえに、このシュローカ「グルはブランマー、グルはヴィシュヌ、、」なのです。
そして、その本質は、私の本質でもあるはずです。
それを教えるのがグルの役目なのです。
同じ内容で、インドではこの話が良く知られています。
「先生とヴィシュヌが同時に自分の前に現れたら、
先にどちらに対してナマスカーラをするべきか?
答えは、先生。なぜなら、ヴィシュヌが誰なのか、その本質は何なのか、
を教えてくれるのは先生だから。
先生にナマスカーラをして教えてもらって初めて、
ヴィシュヌにも全てにもちゃんとナマスカーラが出来るって訳なのです。
太陽系の惑星の木星も、グルと呼ばれています。
木曜日は、グル・ワーサラ(गुरुवासरः [guruvāsaraḥ])と言います。
木星は太陽の周りを一周するのに12年かかります。
同じように、なにか習い事をする場合、ひとつの周期は12年と考えられています。
なんでも気長に、ですね。
木星は、結婚している女性の守り神でもあります。
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<<前回 59.アムリタ(अमृतम् [amṛtam])<<
不死、時間の範囲でないもの、それによって死が無くなるもの
>> 次回 61.ハリ(हरिः [hariḥ])>>
マハー・マントラの謎に迫ります。
ハレー ラーマ ハレー ラーマ
ラーマ ラーマ ハレー ハレー
ハレー クリシュナ ハレー クリシュナ
クリシュナ クリシュナ ハレー ハレー
[guruḥ]
masculine - (自分の本質の正しい知識を教えてくれる)先生、木星
グルとは
現代では、音楽や舞踊そしてヨーガや瞑想の先生もグルと呼ばれますが、
伝統的には、下記のシュローカ(詩節)にある意味が示すように、
自分の本質の正しい知識について教える先生が、グルと呼ばれます。
गुकारस्त्वन्धकारो वै रुकारस्तन्निवर्त्तकः ।
gukārastvandhakāro vai rukārastannivarttakaḥ |
अन्धकारनिरोधित्वाद् गुरुरित्यभिधीयते ॥
andhakāranirodhitvād gururityabhidhīyate ||
gukāraḥ(グの音)vai(まさに)andhakāraḥ(暗闇)
tu(一方)rukāraḥ(ルの音)tannivarttakaḥ(その暗闇を追い払う者)|
andhakāra(暗闇と)nirodhitvād(相反するものであることから)
guruḥ(グル)iti(として)abhidhīyate(呼ばれています。) ||
「グ」の音は「暗闇」を表し、「ル」の音はそれを追い払うもの(光)を表す。
「グル」とは、暗闇(無知)に反するもの(知識の光)を表すことから、
(そのような人、つまり先生は)グルと呼ばれる。
自分の本質の正しい知識とは
自分の身体や心については、ある程度のことは誰でも知っています。
そして、自分とは身体のことだ、とか、自分とは心のあり方のことだ、
と自分の本質を身体や心と取り違えています。
なぜかと言うと、自分の身体や心を見続けている、
本当の自分、自分の本質は、暗闇の中に隠されているからです。
ちょうど、暗い映画館で、銀幕の中の世界にのめり込み過ぎて、
ヒーロー/ヒロインを自分自身だと取り違えている人のようです。
自分自身のことは、真っ暗なので分からないのです。
この自分自身に対する無知の暗闇が「グ」です。
それを取り払ってくれる光が「ル」です。
光と暗闇は相反するので共存できません。
同じように、知識と無知は相反するので共存できません。
無知を追い払いたければ、知識しかないのです。
その知識を教えてくれる人のみが、グルと呼ばれるのです。
グルについてのもうひとつのシュローカ
गुरुर्ब्रह्मा गुरुर्विष्णुर्गुरुर्देवो महेश्वरः ।
gururbrahmā gururviṣṇurgururdevo maheśvaraḥ |
गुरुरेव परं ब्रह्म तस्मै श्रीगुरवे नमः ॥
gurureva paraṃ brahma tasmai śrīgurave namaḥ ||
guruḥ(グルは)brahmā(創造主ブランマージーである)
guruḥ(グルは)viṣṇuḥ(この宇宙を維持しているヴィシュヌである)
guruḥ(グルは)maheśvaraḥ(マヘーシュヴァラ、シヴァ)devaḥ(神である)
guruḥ(グル)eva(こそが)paraṃ brahma(絶対的本質である)
tasmai(その)śrīgurave(グルに)namaḥ(私の尊敬を示します)
このシュローカでは、絶対神!みたいな名前のオンパレードです。
グルと呼ばれている、身体を持った人間が、
それらが全ての神々だという意味のシュローカです。
これってどういう意味なのでしょうか。
3人揃って。 |
ブランマー、ヴィシュヌ、シヴァという三大神は、
見え方は3つそれぞれ別々ですが、本質はひとつです。
ひとつであるゆえに、他のものがない事から、その本質は絶対的本質です。
それぞれ異なる見え方は、相対的なものであり、それゆえに本質ではないのです。
ブランマーも、ヴィシュヌも、シヴァも、ここにある全てのことなのですから、
それらの本質が、ひとつの絶対的な本質なら、
それは、グルという人間の本質でもあるはずです。
ゆえに、このシュローカ「グルはブランマー、グルはヴィシュヌ、、」なのです。
そして、その本質は、私の本質でもあるはずです。
それを教えるのがグルの役目なのです。
神様とグル、どちらが優先?
同じ内容で、インドではこの話が良く知られています。
「先生とヴィシュヌが同時に自分の前に現れたら、
先にどちらに対してナマスカーラをするべきか?
答えは、先生。なぜなら、ヴィシュヌが誰なのか、その本質は何なのか、
を教えてくれるのは先生だから。
先生にナマスカーラをして教えてもらって初めて、
ヴィシュヌにも全てにもちゃんとナマスカーラが出来るって訳なのです。
木星もグル
太陽系の惑星の木星も、グルと呼ばれています。
木曜日は、グル・ワーサラ(गुरुवासरः [guruvāsaraḥ])と言います。
木星は太陽の周りを一周するのに12年かかります。
同じように、なにか習い事をする場合、ひとつの周期は12年と考えられています。
なんでも気長に、ですね。
木星は、結婚している女性の守り神でもあります。
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<<前回 59.アムリタ(अमृतम् [amṛtam])<<
不死、時間の範囲でないもの、それによって死が無くなるもの
>> 次回 61.ハリ(हरिः [hariḥ])>>
マハー・マントラの謎に迫ります。
ハレー ラーマ ハレー ラーマ
ラーマ ラーマ ハレー ハレー
ハレー クリシュナ ハレー クリシュナ
クリシュナ クリシュナ ハレー ハレー