2017年11月8日水曜日

フランス語とスペイン語特集 「オレンジ」もサンスクリット語起源!? 英語・ラテン系言語と似ているサンスクリット語 その4



オレンジ


サンスクリット語: ナーランガ(nāraṅga
スペイン語: ナランハ(naranja

これ、すごくないですか?ジャングル並みの大発見でした。
これは、ヒンディー語やマラティ語で、ナーランギー(nāraṅgī)と呼ばれているのを知って、気づきました。

ちなみに、スペイン語では、Jの音は、喉から出る「ハ」の音になりますね。
ハポネッサ(日本人女性)とか。

ちょっと気になったので、ポルトガル語を調べてみると、laranja でした。

ん?Orangeに似てない?もしやと思い、Ok, google, とアシスタント機能を使って、
「オレンジ」は何というか?ポルトガルからインドまで、陸続きになている各国語の言葉と発音を調べてみました。(Google音声の英語版の精度はすごい!日本語版は改善の余地たっぷりすぎ。これからはどんどん音声で作業したい。じゃないと目が疲れすぎる。)
laranja (ポルトガル語, naranja(スペイン語), taronja (カタラン語), laranja(バスク語)
orange(フランス語), arancia (イタリア語),aurantiaco (ラテン語)
portokáli(ギリシャ語), portokalova (マセドニア語) , p’ort’okhali(ジョージア語)
ここなへんから全然違う音になる??

https://en.wikipedia.org/wiki/Orange_(fruit)#Etymology
調べてみると、こういうことでした。

オレンジの起源インド。語源はサンスクリット語のナーランガ(nāraṅga)から。
नारं गच्छति 等、ちょっとこじつけのようなサンスクリット語の定義もいくつかあります。

最初に欧州に持ち出したのは、ポルトガル商人だそうです。
ゆえに、ギリシャやスラブ語圏では、ポルトガルの~みたいな名前。

ペルシャ語やアラブ語でも、nārang/nāranj。

ちなみにインドでは、
nāraṅgī (クジュラート語、ヒンディー語、マラティ語)
nārin̄ja (テルグ語)ōṟañc(マレーヤラム語), ārañcu (タミル語) ここのCの音はJです。
不思議なのは、
kittale(カンナダ語)kamalā(ベンガル語)、オリアではどう言うのでしょうか?
バルミーズ以東は、全然ちがう音でした。

まだ、ヒンディーでは、サンタラーとも言います。その影響も近隣諸国で見られます。

この記事を書いている途中にテンプルに行ったとき、プリースト(祭司)からもらったプラサーダムもオレンジでした!



サンスクリット語: パダ(pada
フランス語: ピエ(pied

そこから英語でも、ペディキュア、歩行者(pedestrian)、ペダル、等いろいろあります。
足に特化したお医者さんは、podiatristですね。

二本足(dvi-pad) とはサンスクリット語で、二足歩行する者=人間とか
四本足(catuṣ-pad) とはサンスクリット語で、四足歩行する者=動物とか

私の好きなシャンティ・パータのひとつに、どちらとも出て来て、
それらの幸福(スヴァスティ)が祈られています。

ちなみに、
三本足(tri-pad) とはサンスクリット語ではなぜか、木の種類らしい。
英語で「トライポッド」は、三脚のことですね。

百本足(centi-pede) は英語・フランス語共通で、ムカデ(百足)のこと。
千本足(milli-pede) は英語・フランス語共通で、ゲジゲジ(蚰蜒)(のこと。

どっちも同じだと思っていましたが、使い分けられているようですね。
今回調べてみて初めて知りました。
私の感覚では逆で、ムカデの方がゲジゲジよりも足が多いと思っていました。
でもまぁ、この名前の付け方も、実際の足の数を反映しているとは思いませんが。

最近雨季なので、こちらのインドの山奥のアシュラムでは、
いろんなサイズ・形のこの人たちがいっぱいいます。

ちょっとサンスクリット文法の話をさせてもらいますと、
ここで紹介した「数字+足」の複合語は、梵・日・英・仏、どれにおいても、
複合語が指している意味が、複合語中にある言葉の意味では無い、
という、「バフヴリーヒ」というタイプの複合語になります。

つまり、複合語の意味である、人とか動物とか、三脚もムカデもゲジゲジは、

複合語の前の部分の言葉の意味(数字)でもなければ、
複合語の後ろの部分の言葉の意味(足)でもない、
複合語の構成要素となっている言葉とは、別の言葉の意味になっている、
ということです。

サンスクリット語の複合語(サマーサと呼びます)の基礎知識だけをまとめた本を書くぞ!
少しの知識で、たくさんの愉しみが増えます。


部屋、ホール


サンスクリット語: シャーラー(śālā
フランス語: サル(salle

ヤッグニャ・シャーラー(儀式をする部屋)とか、
パータ・シャーラー(ヴェーダの勉強をする学校)とか言いますね。
salle de bain お風呂、salle à manger ダイニング・ルーム

ヤッグニャ・シャーラーはこんな感じ。クンバコーナムにて。

ヴェーダ・パータシャーラーでは、プランマチャーリン達がヴェーダの詠唱を先生から学びます。(自分で勝手に見様見真似で学ぶものではないですよ。)



お金関係


サンスクリット語: アルジュ(arj) とは、「稼ぐ」という意味の動詞の原型。
フランス語: アルジャン(argent)とは、「お金、銀」という意味の名詞。

ちなみにフランス語で「働く」 は「トラヴァイエ travailler」ですね。


argent は銀という意味でもあります。

膝(ひざ)


サンスクリット語: ジャーヌ(jānu
フランス語: ジュヌ(genou



若者・若さ


サンスクリット語: ユヴァン(yuvan
フランス語: ジュンヌ(jeune

いろんな言語で、YとJはごっちゃになりますよね。

英語でも、リジュビネート(若返る)、ジュビナイル・コート(少年裁判所)とかありますね。



家族シリーズ

お母さん

サンスクリット語: マートゥル(matṛ
フランス語: メール(mère
 

お父さん


サンスクリット語: ピトゥル(pitṛ
フランス語: ペール(père


お母さんをお父さんの前に持ってきたのは、
サンスクリット語の習慣に沿ってのことです。

「父母」を一語で表現する場合は、
「より尊敬されるものが前にくること」
というサンスクリット語の文法規定に従って、
「マーター・ピタラウ」 という形になります。


兄弟

サンスクリット語: ブラートゥル(brātṛ
英語: ブラザー(brother) フランス語: フレール(frère


姉妹

サンスクリット語: スヴァスル(svasṛ
英語: シスター(sister) フランス語: サール(soeur





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関連記事: 
ャングルはサンスクリット語だった!? 英語・ラテン系言語に似ているサンスクリット語 その1 

英語・ラテン系言語と似ているサンスクリット語 その2 

英語・ラテン系言語と似ているサンスクリット語 その3 

2017年11月7日火曜日

代名詞と数詞の比較をまとめてみました - 英語・ラテン系言語と似ているサンスクリット語 その3

 

英語とサンスクリット語の代名詞の比較


英語のthatは、サンスクリット語ではtat

二人称の代名詞youは、
複数形だと、yūyam/yuṣmān 、、と全て「Y」の音から始まる代名詞が使われます。

一人称複数の代名詞は、主語以外では、us, ourと、「ア」の音が使われますが、
サンスクリット語でも、asmān, asmākam と、
主語以外は全て「ア」の音から始まる代名詞が使われます。


フランス語とサンスクリット語の代名詞の比較


ラテン系言語全般に同様ですが、代表としてフランス語を例にとって、
サンスクリット語との代名詞を比較してみましょう。

一人称単数の代名詞は、「」の音から始まります。

フランス語: me, mon, ma, moi
サンスクリット語: mām/mā/mayā/mahyam/me/mat/mama/mayi

二人称単数の代名詞は、「」の音です。
フランス語: tu, te, ton, ta, toi
サンスクリット語: tvam/tvām/tvā/tvayā/tubhyam/te/tvat/tava/tvayi

一人称複数の代名詞は、「」の音ですね。
フランス語: nous
サンスクリット語: naḥ(短い形)

二人称複数の代名詞は、「」の音です。
フランス語: vous
サンスクリット語: vaḥ (短い形)

疑問詞は、「K」の音です。
フランス語: ケ(何) que、キ(誰) qui、コン(いつ) quand、コモン(どんな) comment、コンビャン(どれ位)combien
サンスクリット語: キム(何, 誰)kim、カダー(いつ) kadā、カタム(どんな) katham、カティ/キヤット(どれ位)kati/kiyat



フランス語とサンスクリット語の数詞の比較

数詞を比較してみましょうか。


表1: サンスクリット語とフランス語の基数の比較




サンスクリット語
フランス語
1
eka
un/une
2
dvi
deux
3
tri
trois
4
catur
quatre
5
pañcan
cinq
6
ṣaṣ
six
7
saptan
sept
8
aṣṭan
huit
9
navan
neuf
10
daśan
dix

そっくりですね。

表2: サンスクリット語とフランス語の序数の比較




サンスクリット語
フランス語
1st
prathama
prem-ière
2nd
dvi-tīya
deux-ième
3rd
tri-tīya
trois-ième
4th
catur-tha
quart-ième
5
pañca-ma
cinq-ième
6
ṣaṣṭha
sixi-ième
7
sapta-ma
sept-ième
8
aṣṭa-ma
huit-ième
9
nava-ma
neuv-ième
10
daśa-ma
dix-ième

基数にMの音の入った接尾語をつけてるあたりが似てると思いません?




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関連記事: 
ャングルはサンスクリット語だった!? 英語・ラテン系言語に似ているサンスクリット語 その1 

英語・ラテン系言語と似ているサンスクリット語 その2




2017年11月6日月曜日

英語・ラテン系言語と似ているサンスクリット語 その2

多くの人に、サンスクリット語に親しみを持ってもらえるようにと、
英語・フランス語と音が似ている単語を集めています。
今回は第2回です。では、enjoy~!


「歯」は、サンスクリット語で、ダンタ(danta)、
フランス語で、ドン(dent
英語でも、デンタル(dental)、デンティスト(dentist)という言葉になっていますね。


ヒマラヤの麓、スピリチュアルな世界への玄関口、ハリドワール

サンスクリット語の「ドヴァール/ドヴァーラ(dvār/dvāra)」 は、
「門、戸口、通路」という意味で、活用して「~を通して」という意味で良く使われます。
これを英語でいうと、、、そう、ドアー(door)ですね。

ハリドワールはまさに、ハリ(神への)ドワール(入口)です。
ハリドワールから始まって、ガンガーの上流に沿って、
リシケシ、ウッタラカーシー、ヒマラヤ、、、と、どんどんあちらの世界に近づいて行くのです。
ゆえに、ハリドワールは、こちらの世界からあちらの世界の玄関口という訳です。

マハーバーラタでも、パーンドゥ五兄弟が天国への道として、
ヒマラヤへと登って行くと言う話があります。


ヴィシュヌ神、シヴァ神、ブランマー神

「神」という意味の、
サンスクリット語で、神々を表す、デーヴァ(deva)は、
イタリア語で、ディーヴォ/ディーヴァ(divo/diva)(男性/女性)となって、
英語でもそのまま使われていますね。divine とかも同じ語源でしょうね。

ラテン語では神は、デオ(deo
フランス語: dieu スペイン語:dios
そこから、神学(テオロジー  theology)、無神論者(アテイスト atheist
まで続けても大丈夫かと。
ちなみに、無神論者(アテイスト atheist)の始めには、
否定の接頭辞「ア」が付いていますね。
これもサンスクリット語と同じです。ヒムサー/アヒムサー、ダルマ/アダルマとか。

スペイン語では気軽に「アディオス!(adios)」って言ってますが、
意味は、「神様のところで!(at the Godって感じですか。)」と、
死んでから会いましょう!となりますね。
神様のところは死んでからしか行けないという信仰を持っていることが前提ですが。
そのあたり、フランス語は、「アディュ、、、(adieu)」は、「別れ」って感じで使われていると思います。
日本語の「さよなら、、、」という感じでしょうか。

話はさらに逸れて、インドで一番よく知られている日本語は、
「サヨナラ!」です。
昔インドで、「Love in Tokyo」という映画が流行して、そのテーマソングだったそうです。
初対面の人々から、開口一番、「サヨナラ!」と笑顔で言われるのは、ちょっと複雑。


「火」という意味の、アグニ(agni)は、
英語で「着火」という意味の、イグニション(ignition) となっている、
というのを、昔日本のニュースで読んだことがあります。


「中間」という意味の、
サンスクリット語で、「中間」は、
マッディヤマ(madhyama
同じ意味の英語は、ミドル(middle



「止まる、動くのを止める」という意味の、
サンスクリットの動詞の原型、「スター(sthā)」 は、
station, stop, stay などと意味も形も近いですね。
フランス語やスペイン語でも同じような感じです。


「死ぬ」 という意味のサンスクリットの動詞の原型は、
mṛ」 です。カタカナは苦しいけど、「ムル」か「ムリ」でしょうか。なんか無理!がありますね。
そこから「ムリッティユ(mṛtyu)死神」、「マラナ(maraṇa)死」、
そして「アムリタ(amṛta)不死」などといった言葉が生まれます。
フランス語の動詞の原型は「mourir」です。
「死んだ」という過去分詞は、それぞれ「mṛta」(梵)、 「mort」(仏)ですね。

英語でも、「mortal(死にゆく者)」、「immortal(不死の)」、
murder(殺人)」とかになりますね。

 
「掴む」という意味のサンスクリットの動詞の原型は、
「グラフ(grah)」 で、英語ではgrabですね。

grasp = 掴むこと


経験の場所である「ローカ(loka)」も、
英語のlocation, locus と関係してそうですね。



あと、名詞の後ろに付けて、「~的」という言葉を作る、
接尾語のik (ठक्/ठञ्) は、英語の~ic と、意味も形も同じですね。
ロマンティック、オートマティック、システマティック、シメントリック


先にも述べましたが、名詞の前に付けて、「非~、無~、反~」といった言葉を作るときには、
サンスクリット語では、否定を表す「a/an」を付けて表現することが出来ます。
英語でも、先に見たように、同じことが起きる場合もあります。
左右対称は、シメントリー(symmentry)
左右非対称は、アシメントリー(asymmentry)
共感は、シンパシー(sympathy)
非共感は、アパシー(apathy)
でも、英語では、ロジカル/イロジカルとかのように、in/im, antiとかの方がよく見られますね。



そういえば、アシュラムのお向かいの工場で、
バナナの葉などの自然廃材を科学的に加工して、エコな製品開発をしている、
通称・バナナ博士は、こういうの好きだった、と思い出して、
博士にいきなり電話をかけて、今思いつくのだけでいいから教えて!
と頼んでみました。とても快く返答していただきました。

こちらからは、バナナ博士コーナーです。

ます、「能力のある」という意味の、「サマルタ(samartha)」は、
英語では、、、「スマート(smart)」だそうです。
(正直これはちょっとどうかな~。。सम् + अर्थ だからね。。。)

南極は英語で「antarctic」ですが、発音が似ているサンスクリット語に、
antardik」(反対のantar方向diś)というのがあります。

ちなみに、arctic/antarcticの語源はラテン語という推測があります。


腹部はサンスクリット語で「ウダラ(udara)」、英語で「udder」。
ガネーシャ神の名前のひとつに、ランボーダラというのがありますね。
ランバ=長い、前に出た ウダラ=お腹、という意味です。




歳をとることや、老化という意味のサンスクリット語は、「ジャラー(jarā)」です。
それの研究をする学問は、「ジェロントロジー(gerontology)」と呼ばれます。

動詞の原型、「パール(pāl)」は「守る」という意味です。
牛飼いのクリシュナの名前のひとつが、ゴーパーラですね。
ゴー(牛)を守る人(パーラ)です。
そういえば、クリシュナ(kṛṣṇa)も、クライスト(Christ キリスト)の語源とか言いますよね。


 守るという意味繋がりから見ると、ポリス(police)があります。
そして、城塞などで守られている都市や街は、ポリス、メトロポリスと呼ばれますね。


明日は、数詞や代名詞を中心に、システマッティックに紹介しようと思っています。




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