कुमारः
[kumāraḥ]
この「クマーラ」という言葉は、インド男子の名前によく使われます。
名前として使われるときは、最後の「a」が落ちて「クマール」と発音されます。
しかし、サンスクリット語では、きちんと「クマーラ」と発音されるべきです。
南インドのタミル・ナードゥ州では特に多く見られる名前です。
なぜかと言うと、シヴァ神とパールヴァティー女神の間にある、
2人の息子のうちの弟の名前が「クマール」で、
タミル・ナードゥ州では多大な信仰を集めているからです。
お兄さんは、北インド、特にマハーラーシュトラ州でで大人気の「ガネーシャ」。
弟は、南インド、特にタミル・ナードゥで人気を博している「スブラマンニャ」またの名を「カルティケーヤ」、そしてまたの名を「シャンムカ」、はたまた「スカンダ」、通称は「クマール」君です。
「ガネーシャには兄弟がいる」って言っても信じてもらえなかった。。
また、クマール君は、少年期から、結婚して、家族を持って、
最後にサンニャーシー(出家僧)になるまで、南インド各地を転々としていたそうです。
ゆえに、それぞれの土地で、それぞれの人生の段階のイメージで知られているので、
クマール君が、未婚の青年として知られている土地では、
「彼が結婚しているなんて!」って思われるそうです。
シヴァとパールヴァティーは、ある日、とてもスペシャルな果物をもらったので、
自分たちの息子たちのうちの一人にそれをあげようと思った。
この世界、宇宙を、速く一周した方が、果物をもらえるという条件にした。
おなかのポッコリ出ている、正直ちょっと肥満体質のガネーシャ君の
ヴァーハナ(乗り物)は、ちっちゃいネズミちゃん。
一方、端麗なクマール君の乗り物は、すばしっこい孔雀。
クマール君は「ここは俺がもらった!」と言いながら、
さっそうと孔雀に乗って、宇宙をくるっと一周してのける。
絶対勝ち目のなさそうなガネーシャ君は、焦りもせず、
クマール君が外を走っている間に、
目の前に座っているシヴァとパールヴァティーの周りを、くるりと歩いて一周した。
「この宇宙の全ては、私のお母さんとお父さんです。」
「良く解かってるじゃないか!」と喜びながら、
シヴァとパールヴァティーは、ガネーシャ君に果物をあげましたとさ。
== कुमारः [kumāraḥ] - クマーラ が使われている文献 ==
冒頭部分
ॐ उशन् ह वै वाजश्रवसः सर्ववेदसं ददौ। तस्य ह नचिकेता नाम पुत्र आस।। 1.1.1
om̐ uśan ha vai vājaśravasaḥ sarvavedasaṃ dadau| tasya ha naciketā nāma putra āsa|| 1.1.1
ヴァージャシュラヴァスという名のお金持ちの男性は、
自分の財産を全て寄付してしまう、ヴィシュヴァジットという儀式をしていました。
彼には、ナチケータスという名の息子がいました。
तँ ह कुमारँ सन्तं दक्षिणासु नीयमानासु श्रद्धाविवेश सोऽमन्यत।। 1.1.2
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家、家庭、家系という意味のサンスクリット語です。
[kumāraḥ]
masculine - 幼年期の男子
シヴァとパールヴァティーの息子
この「クマーラ」という言葉は、インド男子の名前によく使われます。
名前として使われるときは、最後の「a」が落ちて「クマール」と発音されます。
しかし、サンスクリット語では、きちんと「クマーラ」と発音されるべきです。
南インドのタミル・ナードゥ州では特に多く見られる名前です。
なぜかと言うと、シヴァ神とパールヴァティー女神の間にある、
2人の息子のうちの弟の名前が「クマール」で、
タミル・ナードゥ州では多大な信仰を集めているからです。
お兄さんは、北インド、特にマハーラーシュトラ州でで大人気の「ガネーシャ」。
弟は、南インド、特にタミル・ナードゥで人気を博している「スブラマンニャ」またの名を「カルティケーヤ」、そしてまたの名を「シャンムカ」、はたまた「スカンダ」、通称は「クマール」君です。
南インドで大人気のクマーラ君。 シヴァの息子であり、ガネーシャの弟でもあります。 |
なぜか北インドでは殆ど知られていません。
私もこちらコインバトールに来る前に、リシケシに4年住んでいましたが、
ガネーシャに弟がいる事自体、ぜんぜん知りませんでした。
コインバトールからリシケシに帰った時に、地元の人に
「ガネーシャには兄弟がいる」って言っても信じてもらえなかった。。
また、クマール君は、少年期から、結婚して、家族を持って、
最後にサンニャーシー(出家僧)になるまで、南インド各地を転々としていたそうです。
ゆえに、それぞれの土地で、それぞれの人生の段階のイメージで知られているので、
クマール君が、未婚の青年として知られている土地では、
「彼が結婚しているなんて!」って思われるそうです。
ガネーシャとクマール君の逸話:
シヴァとパールヴァティーは、ある日、とてもスペシャルな果物をもらったので、
自分たちの息子たちのうちの一人にそれをあげようと思った。
この世界、宇宙を、速く一周した方が、果物をもらえるという条件にした。
おなかのポッコリ出ている、正直ちょっと肥満体質のガネーシャ君の
ヴァーハナ(乗り物)は、ちっちゃいネズミちゃん。
一方、端麗なクマール君の乗り物は、すばしっこい孔雀。
クマール君は「ここは俺がもらった!」と言いながら、
さっそうと孔雀に乗って、宇宙をくるっと一周してのける。
絶対勝ち目のなさそうなガネーシャ君は、焦りもせず、
クマール君が外を走っている間に、
目の前に座っているシヴァとパールヴァティーの周りを、くるりと歩いて一周した。
「この宇宙の全ては、私のお母さんとお父さんです。」
「良く解かってるじゃないか!」と喜びながら、
シヴァとパールヴァティーは、ガネーシャ君に果物をあげましたとさ。
== कुमारः [kumāraḥ] - クマーラ が使われている文献 ==
カタ・ウパニシャッド
冒頭部分
om̐ uśan ha vai vājaśravasaḥ sarvavedasaṃ dadau| tasya ha naciketā nāma putra āsa|| 1.1.1
ヴァージャシュラヴァスという名のお金持ちの男性は、
自分の財産を全て寄付してしまう、ヴィシュヴァジットという儀式をしていました。
彼には、ナチケータスという名の息子がいました。
tam̐ ha kumāram̐ santaṃ dakṣiṇāsu nīyamānāsu śraddhāviveśa so'manyata|| 1.1.2
自分もお父さんの持ち物だから、誰かに寄付されるのだと思ったナチケータスは、
お父さんに、「僕を誰にあげるの?」のしつこく聞きます。
儀式に忙しいお父さんは、しつこい息子に対して、
怒りに任せて「お前なんて死神にあげるよ!」と言ってしまいます。
死神のところに送られるも、主人ヤマは不在。
3日3晩待った後、待たせてしまって悪いと思った死神ヤマから、
3つの願い事を叶えて貰う権利を授かります。
...
少年ナチケータス
カタ・ウパニシャッドの主人公は、少年ナチケータス。
マントラでは、「クマーラ」と形容されています。
まだ幼い少年でありながら、死神ヤマから、
しっかりブランマ・ニャーナを教えてもらうのです。
死神ヤマは、教えを乞われても、最初は教えることを拒みます。
引き換えに、長生き出来る特権や、高級車や美女を差し出します。
そんな誘惑に乗らない(若すぎるから?)ナチケータスだからこそ、
このブランマ・ニャーナを知ることが出来るのです。
彼の成長が伺える点が他にもあります。
死神ヤマは、ナチケータスに、3つの願い事を叶えてあげる約束をします。
ナチケータスが最初に頼んだのは、
生きてお父さんのところに帰してもらう事。
お父さんの後悔も怒りも悲しみも記憶も無くなって、
今までどうりに幸せな親子関係を持てる事。
ここで、息子としての、家族に対する責任と義務をしっかり果たしているのですね。
2つめは、天国に行く為の儀式の方法を教えてもらうこと。
ナチケータス自身は天国に興味はないのだけれど、
社会の人々の健康な幸福の実現の為に、この儀式の方法を学び、
生前の社会に戻った後、人々にこの儀式の方法を教え伝えるのです。
この儀式は後に、「ナーチケータサ」と言う名で知られるようになります。
ここでは、社会の幸福の為に貢献しているのですね。
そして、3つ目にやっと、ブランマ・ニャーナを乞うのです。
これが、人間の成長のステップであり、順番は抜かせないって事なんでしょうね。
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私の能力、行動、判断において、神性をみせてくれる祈りのある生活
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家、家庭、家系という意味のサンスクリット語です。