2014年7月3日木曜日

29.クマーラ(कुमारः [kumāraḥ])- 幼年期の男子

कुमारः 
[kumāraḥ] 

masculine - 幼年期の男子



シヴァとパールヴァティーの息子


この「クマーラ」という言葉は、インド男子の名前によく使われます。

名前として使われるときは、最後の「a」が落ちて「クマール」と発音されます。

しかし、サンスクリット語では、きちんと「クマーラ」と発音されるべきです。

南インドのタミル・ナードゥ州では特に多く見られる名前です。

なぜかと言うと、シヴァ神とパールヴァティー女神の間にある、

2人の息子のうちの弟の名前が「クマール」で、

タミル・ナードゥ州では多大な信仰を集めているからです。

お兄さんは、北インド、特にマハーラーシュトラ州でで大人気の「ガネーシャ」。



弟は、南インド、特にタミル・ナードゥで人気を博している「スブラマンニャ」またの名を「カルティケーヤ」、そしてまたの名を「シャンムカ」、はたまた「スカンダ」、通称は「クマール」君です。

南インドで大人気のクマーラ君。
シヴァの息子であり、ガネーシャの弟でもあります。

なぜか北インドでは殆ど知られていません。

私もこちらコインバトールに来る前に、リシケシに4年住んでいましたが、

ガネーシャに弟がいる事自体、ぜんぜん知りませんでした。

コインバトールからリシケシに帰った時に、地元の人に

「ガネーシャには兄弟がいる」って言っても信じてもらえなかった。。

また、クマール君は、少年期から、結婚して、家族を持って、

最後にサンニャーシー(出家僧)になるまで、南インド各地を転々としていたそうです。

ゆえに、それぞれの土地で、それぞれの人生の段階のイメージで知られているので、

クマール君が、未婚の青年として知られている土地では、

「彼が結婚しているなんて!」って思われるそうです。



ガネーシャとクマール君の逸話:


シヴァとパールヴァティーは、ある日、とてもスペシャルな果物をもらったので、

自分たちの息子たちのうちの一人にそれをあげようと思った。

この世界、宇宙を、速く一周した方が、果物をもらえるという条件にした。

おなかのポッコリ出ている、正直ちょっと肥満体質のガネーシャ君の

ヴァーハナ(乗り物)は、ちっちゃいネズミちゃん。

一方、端麗なクマール君の乗り物は、すばしっこい孔雀。

クマール君は「ここは俺がもらった!」と言いながら、

さっそうと孔雀に乗って、宇宙をくるっと一周してのける。

絶対勝ち目のなさそうなガネーシャ君は、焦りもせず、

クマール君が外を走っている間に、

目の前に座っているシヴァとパールヴァティーの周りを、くるりと歩いて一周した。

「この宇宙の全ては、私のお母さんとお父さんです。」

「良く解かってるじゃないか!」と喜びながら、

シヴァとパールヴァティーは、ガネーシャ君に果物をあげましたとさ。




== कुमारः [kumāraḥ] - クマーラ   が使われている文献 ==

カタ・ウパニシャッド 


冒頭部分

ॐ उशन् ह वै वाजश्रवसः सर्ववेदसं ददौ। तस्य ह नचिकेता नाम पुत्र आस।। 1.1.1
om̐ uśan ha vai vājaśravasaḥ sarvavedasaṃ dadau| tasya ha naciketā nāma putra āsa|| 1.1.1

ヴァージャシュラヴァスという名のお金持ちの男性は、

自分の財産を全て寄付してしまう、ヴィシュヴァジットという儀式をしていました。

彼には、ナチケータスという名の息子がいました。

तँ ह कुमारँ सन्तं दक्षिणासु नीयमानासु श्रद्धाविवेश सोऽमन्यत।। 1.1.2
tam̐ ha kumāram̐ santaṃ dakṣiṇāsu nīyamānāsu śraddhāviveśa so'manyata|| 1.1.2

自分もお父さんの持ち物だから、誰かに寄付されるのだと思ったナチケータスは、

お父さんに、「僕を誰にあげるの?」のしつこく聞きます。

儀式に忙しいお父さんは、しつこい息子に対して、

怒りに任せて「お前なんて死神にあげるよ!」と言ってしまいます。

死神のところに送られるも、主人ヤマは不在。

3日3晩待った後、待たせてしまって悪いと思った死神ヤマから、

3つの願い事を叶えて貰う権利を授かります。

...

少年ナチケータス


カタ・ウパニシャッドの主人公は、少年ナチケータス。

マントラでは、「クマーラ」と形容されています。

まだ幼い少年でありながら、死神ヤマから、

しっかりブランマ・ニャーナを教えてもらうのです。

死神ヤマは、教えを乞われても、最初は教えることを拒みます。

引き換えに、長生き出来る特権や、高級車や美女を差し出します。

そんな誘惑に乗らない(若すぎるから?)ナチケータスだからこそ、

このブランマ・ニャーナを知ることが出来るのです。

彼の成長が伺える点が他にもあります。

死神ヤマは、ナチケータスに、3つの願い事を叶えてあげる約束をします。

ナチケータスが最初に頼んだのは、

生きてお父さんのところに帰してもらう事。

お父さんの後悔も怒りも悲しみも記憶も無くなって、

今までどうりに幸せな親子関係を持てる事。

ここで、息子としての、家族に対する責任と義務をしっかり果たしているのですね。

2つめは、天国に行く為の儀式の方法を教えてもらうこと。

ナチケータス自身は天国に興味はないのだけれど、

社会の人々の健康な幸福の実現の為に、この儀式の方法を学び、

生前の社会に戻った後、人々にこの儀式の方法を教え伝えるのです。

この儀式は後に、「ナーチケータサ」と言う名で知られるようになります。

ここでは、社会の幸福の為に貢献しているのですね。

そして、3つ目にやっと、ブランマ・ニャーナを乞うのです。

これが、人間の成長のステップであり、順番は抜かせないって事なんでしょうね。






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家、家庭、家系という意味のサンスクリット語です。

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