2014年3月16日日曜日

19.アウシャディ(औषधिः - [auṣadhiḥ])- 植物、薬、ハーブ、食物

औषधिः
[auṣadhiḥ]

feminine - 植物、薬、ハーブ、食物



ओषधिः [oṣadhiḥ](オーシャディ)と、औषधिः [auṣadhiḥ](アウシャディ)は、

音も似ていますが、意味も殆ど同じです。

辞書の意味では、植物や薬草を指しますが、

ヴェーダーンタの文献を見てみると、、、

単なる植物と言うよりは、「食べ物」の意味合いで使われています。



タイッティリーヤ・ウパニシャッド


तस्माद्वा एतस्मादात्मन आकशः सम्भूतः ।
tasmādvā etasmādātmana ākaśaḥ sambhūtaḥ |
その(ブランマン)から、アートマンから、アーカーシャ(空間)が生まれた。

आकाशाद् वायुः ।
ākāśād vāyuḥ |
アーカーシャからヴァーユ(風)。

वायोरगुनिः ।
vāyoraguniḥ |
ヴァーユからアグニ(火)

अग्नेरापः ।
agnerāpaḥ |
アグニからアプ(水)。

अद्भ्यः पृथिवी ।
adbhyaḥ pṛthivī |
アプからプリティヴィー(土)。

पृथिव्या ओषधयः ।
pṛthivyā oṣadhayaḥ |
プリティヴィーからオーシャディ(植物)。

ओषधीभ्योऽन्नम् ।
oṣadhībhyo'nnam |
オーシャディから人間の元。

अन्नात् पुरुषः ।
annāt puruṣaḥ |
人間の元から人間。

このことから分かるように、ヴェーダでは、人間の食べ物は、植物、

すなわちヴェジタリアンと決まっています。

アヒムサー(非暴力)が、人間としての、最も重要な価値観である時、

生きていく為に発生するヒムサー(環境に与える痛みや負担)を最小限にしようとするのは当然です。

北極や砂漠地帯などの極端な環境にいない限り、

食べ物に関して一番環境に負担が少ないのは、植物性の食べ物なのですから、

ヴェーダが、植物を食べ物として紹介しているのも当然です。

人間が幸せに生きる為のマニュアルであるヴェーダは、「肉を食べるな」と、はっきりと教えています。


ヴェジタリアンという、アヒムサーの選択


「ヴェジタリアン」と言ったとたん、「ノン・ヴェジタリアン」の人が、

拒絶や叱責を感じてしまうのは当然です。

ここでは、「ノン・ヴェジタリアン」をしている人間や人格を批判しているのではなく、

全ての人間が持っている、「考え」に対する怠惰さを批判しているのです。

「何を食べるか」という、重大な責任のある選択権を、

利益追求を優先するコマーシャルなプロパガンダに、みすみすと明け渡してしまっている、

という事実を明らかにしようとしているのです。


しかし、なぜ、アヒムサー(非暴力)が、人間としての、最も重要な価値なのでしょうか?

あらゆる生き物は、植物でも、動物でも、人間でも、誰でも、

他から傷つけられることを望みません。

この事実を、誰にも教えられずに、生まれた時から知っているのは人間だけです。

人間を人間たらしめているのは、この先天的な知識です。

この先天的な知識が土台となって、他者の痛みに共感できる優しさ、すなわち心の成長があるのです。

しかし、この大事な知識 -「自分が傷つけられたくないと思うのと同じように、

どんな生き物だって傷つけられるのは嫌なのだ」- という知識は、

コマーシャルや教育、習慣によって、覆い隠されてしまいます。

自分の快楽や便宜さの為に、他者を傷つけることに鈍感になってしまうのです。

周りに、不必要に痛みや負担をかけて、さらにそれに対して鈍感であることが、

すなわち人間としての幼稚さ、小ささなのです。

少し立ち止まって、考えたり、観察したりすると、

今まで肉食をしていたのは、あまりちゃんと考えていなかった結果であることが見えてきます。



バガヴァッド・ギーターでも、ヴェーダと同じことが言われています。

15章では、バガヴァーンが「全ては私である」と教えています。

「食べ物は私、食べる人も私、消化の力も私」と説明している中で、

पुष्णामि चौषधीः सर्वाः सोमो भूत्वा रसात्मकः॥
puṣṇāmi cauṣadhīḥ sarvāḥ somo bhūtvā rasātmakaḥ||

と、食べ物は、植物=औषधी - [auṣadhī] アウシャディーとして登場しています。


食べるという行為は、宇宙と自分の体との、物理的で直接的な関わりです。

空気を吸うときは、どのような空気を吸うかは自分で決められませんが、

どのような食べ物を食べるかにおいては、Freewill=自由意志が使えます。

日本の食生活のコマーシャルなあり方に流されるがままに、肉食をしているのは、

自由意志が、自由ではない証拠です。

自分の頭で「正しく」考えることにより、

自分の意志を、考えの足らない習慣の束縛からの解放、

すなわち自由にしてあげられるのです。


<< 前回の言葉 18.ऐश्वर्यम् [aiśvaryam] - アイシュワリヤ <<

>> 次回の言葉 20.औष्ण्यम् [auṣṇyam] - アウシュニャ >>


補足:

ヴェジタリアンと言うと、

「禁欲的で美味しいものは食べられない」というイメージがありますが、

それは間違いです。

特にインド料理は、スパイスが利いていて美味しいので、

ヴェジタリアンだと言わない限り気が付かれません。

日本でも本場の、ピュア・ヴェジの食料品が手に入ります。

http://www.ambikajapan.com/
インドで一般的なヴェジマークを、日本でも広めたいです。


マクロビのような、玄米と海草、豆類、野菜といった日本食もいいですね。

エコヴェジ」が日本に広まれば、と願っています。

まずは、一日のうちで一食を菜食にするだけでも、エコ効果があります。

意外ですが、菜食にするだけで、家庭でも産業でも、節電に貢献できるのですよ。




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