「第一」という序数の「प्रथम [prathama]」は、数詞から派生したのではなく、「表れる、有名になる」という意味の動詞の原形「प्रथ् [prath]」から派生した言葉です。
サンスクリット語の序数を作るためのスートラは、「第二」とそれ以降の序数を扱っています。なぜなら、序数を作るスートラの最初にある、序数の定義が、「その数を満たすもの(तस्य पूरणे [tasya pūraṇe])(パーニニ・スートラ 5.2.48より)」だからです。
完全に満たされている、満ちている、全てを満たしている、プールナ(पूर्ण [pūrṇa])にするもの。
ヴェーダーンタでおなじみの「十人目の男」のお話の中で、パラマーナンダ先生の生徒であるデーヴァダッタ君は、「(十という数を)満たす存在」を探しているのです。
「あなたが十人目です(दशमोऽसि [daśamo'si])」という教えの言葉に、序数の「दशम [daśama]」がありますね。
繋がって来ましたか?
「第二」は、数詞の2である「द्वि [dvi]」に序数を作るための接尾辞「तीय [tīya]」を足して、「द्वितीय [dvitīya]」となります。(5.2.54 द्विस्तीयः। ~ तस्य पूरणे)
「第三」も同様、数詞の3である「त्रि [tri]」に序数を作るための接尾辞「तीय [tīya]」を足して、संप्रसारणが起きて「तृतीय [tṛtīya]」となります。(5.2.55 त्रेः संप्रसारणं च।, 6.1.108 संप्रसारणाच्च । ~ पूर्वरूपम्)
「第四」と「第六」は、数詞の4「चतुर् [catur]」と6「षष् [ṣaṣ]」の為の序数を作るための接尾辞「थ [tha]」を付加して、それぞれ「चतुर्थ [caturtha]」と「षष्ठ [ṣaṣṭha]」となります。(5.2.51 षट्-कति-कतिपय-चतुरां थुक्। 8.4.41 ष्टुना ष्टुः । ~ स्तोः)
「第四」に関しては特別に、マーンドゥーキャ・ウパニシャッドにも出てくる「तुरीय [turīya]」という形と、「तुर्य [turya]」という形もあります。
5と7~10は、原形はन् [n]で終わっていて、他の数字と複合語になっていないので、序数を作るための接尾辞「म [ma]」が付加されます。(5.2.49 नान्तादसंख्यादेर्मट्।)पञ्चन् [pañcan] + म [ma]
पञ्च [pañca] + म [ma] 1.4.17, 8.2.7
11以降は全て、序数を作るための接尾辞「डट् [ḍaṭ]」が付加されます。(5.2.48 तस्य पूरणे डट्।)
20以降は全て、「तमट् [tamaṭ]」が付加される形もあります。
また、数字の19は、「1少ない20」という意味の「एकोनविंशति [ekonaviṃśati]」という言葉も使われます。 これも、マーンドゥーキャ・ウパニシャッドに出てくる言葉です。
「डट् [ḍaṭ]」の中身は「अ [a]」のみです。
前後の子音は、इत् [it]文字と呼ばれて、取扱説明書の役割を果たしています。
前にある「ड् [ḍ]」は、原形の最後の母音から始まる部分、つまり「अन् [an]」が落ちる、という取扱説明書になっています。
後にある「ट् [ṭ]」は、女性形として使われる場合の取り扱いを説明していまsj。
普通、「अ [a]」で終わる単語には「आ [ā]」という接尾辞が付加されるのですが、「ट् [ṭ]」のつく接尾辞が付加されて派生した言葉には、「आ [ā]」ではなく、代わりに「ई [ī]」という接尾辞が付加される、ということを教えています。
(4.1.4 अजाद्यतष्टाप्। 4.1.15 टिड्-डाणञ्...। ~ ङीप् स्त्रियाम्, 6.4.148 यस्येति च ।)
実は、4~10の、「थ [tha]」と「म [ma]」も、「डट् [ḍaṭ]」の変形なので、「第四」以降の序数は、「ई [ī]」で終わります。
女性形の数字は、サンスクリット語の名詞の格(विभक्ति [vibhakti])にも、ヒンドゥー歴のティティ(तिथि [tithi])にも使われるので、覚えておくと便利ですよ。
基数の原形
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序数の原形
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男性形・中性形
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女性形
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एक [eka]
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1st
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प्रथम [prathama]
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प्रथमा [prathamā]
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द्वि [dvi]
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2nd
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द्वितीय [dvitīya]
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द्वितीया [dvitīyā]
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त्रि [tri]
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3rd
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तृतीय [tṛtīya]
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तृतीया [tṛtīyā]
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चतुर् [catur]
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4th
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चतुर्थ [caturtha]
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चतुर्थी [caturthī]
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पञ्चन्[pañcan]
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5th
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पञ्चम [pañcama]
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पञ्चमी [pañcamī]
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षष् [ṣaṣ]
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6 th
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षष्ठ [ṣaṣṭha]
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षष्ठी [ṣaṣṭhī]
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सप्तन् [saptan]
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7 th
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सप्तम [saptama]
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सप्तमी [saptamī]
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अष्टन् [aṣṭan]
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8 th
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अष्टम [aṣṭama]
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अष्टमी [aṣṭamī]
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नवन् [navan]
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9 th
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नवम [navama]
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नवमी [navamī]
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दशन् [daśan]
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10 th
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दशम [daśama]
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दशमी [daśamī]
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एकादशन् [ekādaśan]
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11 th
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एकादश [ekādaśa]
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एकादशी [ekādaśī]
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द्वादशन् [dvādaśan]
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12 th
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द्वादश [dvādaśa]
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द्वादशी [dvādaśī]
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त्रयोदशन् [trayodaśan]
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13 th
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त्रयोदश [trayodaśa]
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त्रयोदशी [trayodaśī]
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चतुर्दशन् [caturdaśan]
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14 th
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चतुर्दश [caturdaśa]
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चतुर्दशी [caturdaśī]
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पञ्चदशन् [pañcadaśan]
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15 th
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पञ्चदश [pañcadaśa]
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पञ्चदशी [pañcadaśī]
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षोदशन् [ṣodaśa]
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16 th
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षोदश [ṣodaśa]
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षोदशी [ṣodaśī]
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सप्तदशन् [saptadaśan]
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17 th
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सप्तदश [saptadaśa]
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सप्तदशी [saptadaśī]
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अष्टादशन् [aṣṭādaśan]
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18 th
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अष्टादश [aṣṭādaśa]
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अष्टादशी [aṣṭādaśī]
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नवदशन् [navadaśan]
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19 th
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नवदश [navadaśa]
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नवदशी [navadaśī]
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विंशति [viṃśati]
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20 th
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विंश [viṃśa]
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विंशी [viṃśī]
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एकविंशति [ekaviṃśati]
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21 th
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एकविंश [ekaviṃśa]
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एकविंशी [ekaviṃśī]
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त्रिंशत् [triṃśat]
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30 th
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त्रिंश [triṃśa]
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त्रिंशी [triṃśī]
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