バンコク国際空港の名前はサンスクリット語
サンスクリット語の発音では、[suvarṇabhūmiḥ]、
カタカナにすると、「スヴァルナ・ブーミ」となります。
タイ語になると、「スワンナプーム」となってしまうのですね。
この名前は正真正銘のサンスクリット語です。
数年前、インドから飛んで、バンコクの新国際空港に着いたときに、
その名前を見て、「ヒンドゥーの名前そのもの!」 とビックリし、
さらに、空港のロビーに展示されている巨大な彫刻を見てビックリ。
スラとアスラの、ミルクの海の攪拌の場面。中央にはもちろん青色のヴィシュヌ。
黄金の地
「スヴァルナ」(सुवर्ण [suvarṇa])とは、黄金という意味のサンスクリット語です。
「ス」 (सु [su])とは、良い、美しい、秩序の整った、という意味です。
「ヴァルナ」(वर्ण [varṇa])は、色という意味。
そして、
「ブーミ」(भूमि [bhūmi])は、大地、地球、土地、という意味。
合わせて、「黄金の地」。
インドが起源の仏教の古い文献に出てくる場所の名前だそうです。
スラ(デーヴァ)組 |
母なる大地
この「ブーミ」という言葉、サンスクリット語の類義語辞典をみてみると、
マヒー(मही)、メーディニー(मेदिनी)、プリティヴィー(पृथिवी)、
ヴァスダー(वसुधा)、ク(कुः)、ブー(भूः)、等‥
と、40近くもあります。
そして、この「大地、地球」という意味のサンスクリット語の同義語は、
全て女性形です。
「母なる大地」、「Mother Earth」という表現はどの文化でも普遍なアイディアなようですね。
アスラ組 |
サンスクリット語起源のタイ語
タイ王国の王家の人々の名前が「ラーマ」だし、
タイの古い名前「シャム」も、サンスクリット語の吉兆という意味の言葉
「शम्」から来たのかどうか、いろいろな説がありそうです。
「サワディー」も、スヴァスティ(स्वस्ति [svasti])から来ているとか、
「メコン」は、マー・ガンガー(मा गङ्गा) (母なるガンガー)から来た、とか。
100回くらい早口で言ったら、そうなるかなぁ、という遠さですが。
タイ、インドネシアはもちろん、カンボジアもサンスクリットの文化の影響が濃い国ですね。
社会の変化と共に消え去っていますが。。。
その点マレーシアは、イスラムや中国からの移民と共存しながら、
まだまだタミルの延長という感じで、文化が生きていますね。
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仏教用語になったサンスクリット語と、その本来の意味(1)
阿吽(あうん)、阿伽/閼伽(あか)、
阿闍梨(あじゃり)、阿修羅(あしゅら)