2016年1月25日月曜日

サンスクリットの数字の説明(1~5)

1.エーカ(एक [eka])

3つの性で、単数・両数・複数で、सर्व と同じように活用されます。

活用表が見たい人は、私の教科書をダウンロードしてみて下さい。
http://arshaavinash.in/index.php/download/sanskrit-grammar-for-vedanta-students-nouns-verbs/


複数形で「1」って?と思われるかも知れませんが、
数がひとつ、という意味以外にも、
英語の「some」のような、不特定代名詞として使われます。

 ウパニシャッドのマントラやギーターにも出て来ます。

カタ・ウパニシャッド:
येयं प्रेते विचिकित्सा मनुष्ये अस्तीत्येके नायमस्तीति चैके
एतद्विद्यामनुशिष्टस्त्वयाहं वराणामेष वरस्तृतीयः ॥ कठोपनिषद् 1-1-20॥
人が死んだ時、(死んだ身体以外のものが)ある人は有ると云い、ある人は無いと云っている、その謎について、私(ナチケータス)は貴方(ヤマ・ラージャ)によって教えを授かり知ることになるでしょう。それを、私の三つ目の願い事として選びます。

バガヴァッド・ギーター:
त्याज्यं दोषवदित्येके कर्म प्राहुर्मनीषिणः ।
यज्ञदानतपःकर्म न त्याज्यमिति चापरे ॥ भगवद्गीता 18-3॥
ある知識人たちは、カルマは制限があることから、放棄するべきと教えています。
また別の人たちは、祈りの儀式・与えること・タパスは放棄してはならないと教えています。
というように、some people say... という形でよく出て来ます。

धातुपाठのपाठभेदを表すときにもよく出て来る表現方法です。


エーカダンタ(एकदन्तः [ekadantaḥ])
= ひとつ(エーカ)の牙(ダンタ)を持つ者
= ガネーシャ
ヴャーサが口述するマハーバーラタを書き落とす為に、牙を一本切り落としました。

普通、「ダンタ」 は「歯」という意味です。
英語の「デンタル」に似ていますね。
フランス語でも歯は「dent(ドン)」です。


2.ドヴィ(द्वि [dvi])


3つの性で、両数のみで、सर्व と同じように活用されます。

アドヴァイタ(अद्वैतम् [advaitam]) 二つ目のものが無いこと。

「ドヴィ」の「イ」が、「アイ」に変化したのが分かりますか。

最初の「ア」は否定です。

ふたつ目のものとは、自分という存在以外のことです。

詳しいことは、ヴェーダーンタを勉強してください。 

3.トリ(त्रि [tri])


3つの性で、複数のみで活用されます。
त्रयः, तिस्रः, त्रीणि といった具合です。

トリャンバカ(त्र्यम्बकः [tryambakaḥ])
= 三つ(トリ) の目(アンバカ)を持つ者
= シヴァ




トリコーナ(त्रिकोणः [trikoṇaḥ])
= 三つ(トリ) の角(コーナ(梵)、コーナー(英))
= 三角

西洋言語とサンスクリット語は似ている言葉が多いです。


 

4.チャトゥル(चतुर् [catur])

フランス語の「4」、キャトル(quatre)に似てますね。

3つの性で、複数のみで活用されます。
चत्वारः चतस्रः, चत्वारि といった具合です。

チャトルブジャ(चतुर्भुजः [caturbhujaḥ])
= 四つ(チャトル)の腕(ブジャ)を持つ者
= ガネーシャ

腕(ブジャ)が四本(チャトル)で、チャトルブジャ

ヴィシュヌもチャトルブジャと呼ばれますね。

 

5.パンチャン(पञ्चन् [pañcan])


3つの性で、複数のみで活用されます。
4までは、3つの性で形が変わっていましたが、
5以降は、3つの性でも形が変わりません。

パンチャ・コーシャ もよく聞く言葉です。
アーユルヴェーダでおなじみの、パンチャ・カルマは、五つの浄化法ですね。

インド北西の州、パンジャブも、五つ(パンチャ) の水・川(アプ)が注ぐ、
豊かな穀倉地帯という意味なのです。

https://en.wikipedia.org/wiki/Punjab_%28region%29

頭にターバンを巻いている、シーク教の州ですね。
シーク教の人々は、様々なヒンドゥー文化を守る、とても敬虔なヒンドゥー教徒なのですよ。

続きはまた!6~10までを説明しますね。
サンスクリットの数字の説明(6~10)