2016年10月15日土曜日

80.ダンヴァンタリ(धन्वन्तरिः [dhanvantariḥ])医学・薬学の原理、ヴィシュヌの姿のひとつ

アーユルヴェーダを学ぶ人にはおなじみの、ダンヴァンタリ様。


こちらのアシュラムに付属しているアーユルヴェーダの施設でも、

トリートメントを行うまえに、施す人と施される人が一緒に、

施術部屋にあるダンヴァンタリ様の神棚の前でお祈りをします。

お祈りとその意味は前にこちらで紹介しましたね。

ところで、ダンヴァンタリという名前はどういう意味なのでしょうか?

ヴェーダーンタとは直接関係ないので、そんなん知らんがな、なのですが、
最近何人かの人に聞かれたので、辞書を引いてみました。


ダンヴァンタリの語源


 शब्दकर्पद्रूमः というサンスクリットの百科事典を引いてみると、、、

धनुरुपलक्षणत्वात् शल्यादिचिकित्साशास्त्रं तस्य अन्तम् ऋच्छति इति । देववैद्यः, स भगवदवतारः ।


ダヌ(医学の知識の) + アンタ(終わりまで) + アリ(行く)

というデーヴァのお医者さん、ヴィシュヌのアヴァターラということです。

まず、ダヌ(弓、धनु [dhanu])とは、
シャッリャ(矢、शल्य [śalya])という名前の文献に代表される、

医学の知識の集合体を表しているそうです。

それの、アンタ(最後、結論、अन्त [anta])まで行く、もしくは得る。

つまり、 全ての医学の知識を有している者、となります。


次に、वाचस्पत्यम्  という辞書を引いてみますと、

धनोः तन्निमित्तशल्यस्यान्तं पारमृच्छत।

ダヌ(弓、武器全般の代表)による痛みのアンタ(終わり、向こう側)に行く、

となっています。


ダンヴァンタリの登場する文献


プラーナという文献ですね。

ブランマヴァイヴァルタ、ヴィシュヌプラーナ、バーガヴァタなどに登場するそうです。

プラーナとは、

シュルティ(ヴェーダ)、スムリティ(マハー・バーラタ等)に続くプラマーナとされる文献で、

ヒンドゥーの神様をモチーフにしたお話の殆どは、プラーナで見つかります。

 プラーナの中の数々のお話しの根底はヴェーダーンタであり、

シャンカラーチャーリヤは、自身のコメンタリーの中でヴィシュヌ・プラーナを

しばしば引用していますが、

なぜか、一番有名で大きいバーガヴァタからの引用はひとつもないということです。


インドには、プラーナの話を民衆に聴かせるのに特化した、

「ポウラーニカ」と呼ばれる学者がたくさんいます。

でも、ヴェーダーンタを勉強する人とは、かなり色が違います。。


ダンヴァンタリの誕生祭


ダンテラス(Dhanteras)という名前で、ディーパ―ヴァリ(ディワリ)の前の、

トラヨーダシー(満月から13日目)です。地域や宗派によって違いはあると思いますが。

2016年は、10月28日です。



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文法的にもうちょっと知りたい人は====

ダヌ + アンタ + アリ

ヌの最後の音「ウ(u)」は、後ろに母音(ここではア)が来ると、

Vの音に変化しますね。そう、ヤン・サンディです。

アリは、ऋ(行く) + इ(者、行動の主体)から成ります。

(उणादिसूत्रम्) ४.१४० अच इः ।

अन्त と अरि は、、、शकन्ध्वादिगण が आकृतिगण なのでそこで पररूपम् にしてしまう?

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http://sanskrit-vocabulary.blogspot.in/2016/03/patanjaliprayer.html

ヨガとアーユルヴェーダと文法と、
ヴェーダーンタの関係 
- パタンジャリへの祈りから読み解く








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ダンヴァンタリへの祈りの句です。