2014年2月25日火曜日

17.アイキャ(ऐक्यम् [aikyam] )- 一つであること

ऐक्यम् 
[aikyam]


neuter - 一つであること





ナマステ、
ただ今リシケシです。

日本語で「ひとつであること」と書くと、なんか寂しい感じがしますが、

英語で言うと、"oneness"(ワンネス)って聞こえがいいですね。


サンスクリットをはじめ、他の言語でも、

名詞の後ろに、接尾語を付けることにより、新しい名詞を作ることが出来ます。

名詞 + 接尾語 = 新しい名詞

「一つ」という名詞に、「~であること」という意味の接尾語を付けると、

「一つであること」になりますね。

英語でも、「one」という名詞に「~ness」という接尾語を付ければ、

「oneness」になります。


サンスクリット語で「1」「一つ」は、「エーカ एक [eka]」という名詞です。

「ष्यञ् [ṣyañ]」という接尾語は、「~であること、~ness」という意味です。

「エーカ एक [eka] +「ष्यञ् [ṣyañ]」=「アイキャ ऐक्य [aikya]」

となるわけです。

音がえらく変わりましたが、何が起きているかというと、

1.最初の母音に「ヴリッディ(वृद्धिः [vṛddhiḥ])」 が起きた。

「ヴリッディ(वृद्धिः [vṛddhiḥ])」 とは、आ [ā], ऐ [ai], औ [au] の3つの音を指します。

  • अ [a]  ⇒ आ [ā]
  • इ [i]   ⇒ ऐ [ai]
  • उ [u]   ⇒ औ [au]
  • ऋ [ṛ]  ⇒  आर् [ār] (आ [ā]に र् [r] がくっついた)
のように変わります。


2.最後の音がドロップして、接尾語の「य [ya]」がくっつく。

接尾語は「ष्यञ् [ṣyañ]」でしたが、「ष् [ṣ] 」と「ञ् [ñ]」が落ちて、「य [ya]」だけ残るんですね。

ここなへんは、パーニニ文法勉強会を参考にして下さい。

このように、2つの変化が起きて、

「エーカ एक [eka]」(ひとつ)が、「アイキャ ऐक्य [aikya]」(ひとつであること)

になるわけです。

同じように、

सवर्णः [savarṇaḥ ]  ⇒ सावर्ण्यम् [sāvarṇyam ]
समानाधिकरणम् [samānādhikaraṇam ]  ⇒ सामानाधिकरण्यम् [sāmānādhikaraṇyam ]
विरागः [virāgaḥ ]  ⇒ वैराग्यम् [vairāgyam ]
विलक्षणम् [vilakṣaṇam ]  ⇒ वैलक्षण्यम् [vailakṣaṇyam ]
निश्चल [niścala ]  ⇒ नैश्चर्यम् [naiścaryam ]
सुखम् [sukham ] ⇒  सौख्यम् [saukhyam ]
दुर्बलम् [durbalam ] ⇒  दौबल्यम् [daubalyam ]
कृत्स्नम् [kṛtsnam ]  ⇒ कार्त्स्न्यम् [kārtsnyam ]

おっと文法の話が長くなってしまった。


「ひとつであること」 とわざわざ言うからには、

2つ以上のものがある事が前提にある訳です。

この世界には、無数のものが存在していますね。

無数のものも、突き詰めると2つになります。

私と、それ以外のもの全てです。

「私 VS(対) 世界」の世界観で、私達は戦いながら生きています。

ヴェーダーンタは教えます。

私も、世界も、本質的には一つなのだと。

例えるなら、私も世界の全ても、真っ白の画用紙に描かれた絵のようなものです。

どんな図柄でも、本質は、ただただ真っ白は一つのキャンパスなのです。

本質的には一つだけど、その上に無限に広がる様々な色や形があり、

その中の、小さな小さな点のような存在が、この私。。。

いやいや、その小さな点が私じゃなくて、それに存在を与えている画用紙が本当の私。

だって、色や形は、画用紙無しには存在出来無いでしょう。

無限に広がる色や形の全てが、イーシュワラ

それは私と、本質的にも、表現的にも、全く離れていない。

在るのはただ一つ。

もし、そうなら、私が手に入れるべくして追いかける対象、

今ここにいる私以外の、2つ目のものなど、もう何も無い。

満たされるべき望みは、「在るのはただ一つ」という知識によって、

いっぺんに満たされてしまった。


== ऐक्यम् [aikyam] - アイキャ  が使われている文献 ==

जीवेश्वरैक्यम्
jīveśvaraikyam

ジーヴァ(個人)とイーシュワラ(全体)が本質的には、ひとつであること
を解いているのがヴェーダーンタです。



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くちびると言う意味のサンスクリット語です。

   


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