2017年5月12日金曜日

ラーマーヤナ 日本語訳 (रामायणम् [rāmāyaṇam])

プージャ・スワミジの「ラーマーヤナ」シリーズを復習がてら、
原文から日本語訳を試みてみました。

スワミジは、原文の一言一句を丁寧に、聴いている生徒の精神成長に、
そのまま直結して役立てるように、解説してくれます。
ゆえに、一語ごとに最低一パラグラフは必要になります。

スワミジご自身が、ラーマーヤナが教える普遍的価値観が受け継がれている
インドの伝統文化の中で生きてこられ、
その価値観をご自分の自然な資質とされて来たのですから、
教えている価値観が自分自身の価値観と完全に一致している、
そんな先生が教えてくれるラーマーヤナの一言一句は、
ラーマーヤナ、先生、自分、と一直線で届きます。

「ヒンドゥー教」とは、外国人が勝手につけた名前ですが、
サンスクリット語では「サナータナ・ダルマ永久不変のあり方)」です。
本当に、その言葉はその意味そのものなのだということを、
プージャスワミジは教えてくれました。

訳文は現代日本語、今現在の日本語、読んでわかってもらうための言葉です。
言葉はコミュニケーションの為にあるもので、自分の知識をひけらかす為ではないからです。

書籍として執筆する場合には、一語一語、語数を気にすることなく説明するつもりですが、
シュローカの対訳は、短いからすぐに書けるように思えて、
実は、伝えるべきアイディアを出来るだけ少ない語数に圧縮しなければならないので、
それはそれで、頭を使いますね。。

ラーマーヤナは古典サンスクリット語の端正なスタイルで書かれており、
サンスクリット語文法の勉強にも適していると言われているので、
書籍版には文法解説も入れて、文法の勉強にも役立ててもらいたいと思っています。

तपःस्वाध्यायनिरतं तपस्वी वाग्विदां वरम् । नारदं परिपप्रच्छ वाल्मीकिर्मुनिपुङ्गवम् ॥ १॥

偉大な修行者であるヴァールミーキは、タパスと文献を繰り返し勉強することを常に愉しみとし、最上の学識者であり、思考する人々の最も秀でたナーラダに、敬謙な姿勢をもって尋ねました。


को न्वस्मिन्साम्प्रतं लोके गुणवान्कश्च वीर्यवान्। धर्मज्ञश्च कृतज्ञश्च सत्यवाक्यो दृढव्रतः॥ २॥ 

「この時代のこの世に一体、成熟した人間としての資質を持つ人はいるのでしょうか?心身が強く鍛えられていて、正義を体現している人格者であり、恩義を忘れず、真実のみを話し、決心したことを守り通す人とは誰ですか? 

चारित्रेण च को युक्तः सर्वभूतेषु को हितः। विद्वान्कः कः समर्थश्च कश्चैकप्रियदर्शनः॥ ३॥ 

 人々に英雄伝が語り継がれ、全ての生きるものに恵みを与えるような人は誰ですか?学識者であり、どのような状況にも応えられる有能な手腕がある人とは誰ですか?そして、常に朗らかで愛すべき容姿を持った人とは誰なのでしょうか?

आत्मवान्को जितक्रोधो द्युतिमान्कोऽनसूयकः। कस्य बिभ्यति देवाश्च जातरोषस्य संयुगे॥ ४॥

心身が調和しており、怒りに負かされない統合した人格を持ち、輝きを放ち、嫉妬に苛まされない人などいるのでしょうか?戦いにおいて、間違った者を正すことに長けたその人を、神々達でさえも怖がるという、そのような人は誰ですか?

एतदिच्छाम्यहं श्रोतुं परं कौतूहलं हि मे। महर्षे त्वं समर्थोऽसि ज्ञातुमेवंविधं नरम्॥ ५॥

このような人について是非話を伺いたいと私は強く熱望しています。マハリシよ!三つの世界を往来しているあなたなら、このような人間がいれば知っているはずです」
 




<< サンスクリット語一覧(日本語のアイウエオ順) <<

こちらも:
65.ダルマ(धर्मः [dharmaḥ])- 世界のあり方を支えている法則  

ラーマといえば、ダルマとは何かを人類に教えるために表れたアヴァターラですからね。
正義とは何かのアーキタイプなのです。

32.クーパ(कूपः [kūpaḥ])- 井戸 (ラーマについてちょっと解説しています)

25.キム(किम् [kim])- 何 (ラーマもちょっと出てくるけど、殆ど文法の話ばかり)

34.クリシュナ(कृष्णः [kṛṣṇaḥ]) 

21.カター(कथा [kathā])- お話、特にラーマーヤナやバーガヴァタなどの、歴史や教訓を含んだ伝統的な話