2016年3月11日金曜日

74.スワンナプーム(सुवर्णभूमिः [suvarṇabhūmiḥ]) タイ語になったサンスクリット語

バンコク国際空港の名前はサンスクリット語

サンスクリット語の発音では、[suvarṇabhūmiḥ]、

カタカナにすると、「スヴァルナ・ブーミ」となります。

タイ語になると、「スワンナプーム」となってしまうのですね。


この名前は正真正銘のサンスクリット語です。

数年前、インドから飛んで、バンコクの新国際空港に着いたときに、

その名前を見て、「ヒンドゥーの名前そのもの!」 とビックリし、

さらに、空港のロビーに展示されている巨大な彫刻を見てビックリ。

スラとアスラの、ミルクの海の攪拌の場面。中央にはもちろん青色のヴィシュヌ。


黄金の地



「スヴァルナ」(सुवर्ण [suvarṇa])とは、黄金という意味のサンスクリット語です。

「ス」 (सु [su])とは、良い、美しい、秩序の整った、という意味です。

「ヴァルナ」(वर्ण [varṇa])は、色という意味。

そして、

「ブーミ」(भूमि [bhūmi])は、大地、地球、土地、という意味。

合わせて、「黄金の地」。

インドが起源の仏教の古い文献に出てくる場所の名前だそうです。

スラ(デーヴァ)組


母なる大地


この「ブーミ」という言葉、サンスクリット語の類義語辞典をみてみると、

マヒー(मही)、メーディニー(मेदिनी)、プリティヴィー(पृथिवी)、

ヴァスダー(वसुधा)、ク(कुः)、ブー(भूः)、等‥

と、40近くもあります。

そして、この「大地、地球」という意味のサンスクリット語の同義語は、

全て女性形です。

「母なる大地」、「Mother Earth」という表現はどの文化でも普遍なアイディアなようですね。



アスラ組


サンスクリット語起源のタイ語



タイ王国の王家の人々の名前が「ラーマ」だし、

タイの古い名前「シャム」も、サンスクリット語の吉兆という意味の言葉

「शम्」から来たのかどうか、いろいろな説がありそうです。

「サワディー」も、スヴァスティ(स्वस्ति [svasti])から来ているとか、

「メコン」は、マー・ガンガー(मा गङ्गा) (母なるガンガー)から来た、とか。

100回くらい早口で言ったら、そうなるかなぁ、という遠さですが。

タイ、インドネシアはもちろん、カンボジアもサンスクリットの文化の影響が濃い国ですね。

社会の変化と共に消え去っていますが。。。

その点マレーシアは、イスラムや中国からの移民と共存しながら、

まだまだタミルの延長という感じで、文化が生きていますね。

<< 目次へ戻る



仏教用語になったサンスクリット語と、その本来の意味(1)

阿吽(あうん)、阿伽/閼伽(あか)、
阿闍梨(あじゃり)、阿修羅(あしゅら)