2014年2月8日土曜日

6.イハ(इह [iha])- ここ、この場所、これにおいて

इह
[iha]


ind. ここ、この場所、これにおいて




この世が永遠でないように、天国も永遠ではない。


前回見た「イダム(इदम् [idam])」から派生した言葉です。

普通は、「別の場所/あの世/天国etc」とかと比較して、

「この場所/この世」、つまり今生きている世界を指す言葉です。

また、この体において、この生きている身体において、

つまり、「生きているうちに」、という意味でも使われます。

「人生のゴールは生きている内に達成するべき」

「死んでから行く天国は、ゴールじゃない。

だって、またこっちに帰ってくることになるだけだから。

1週間のハワイ旅行みたいに。」

この世の天国も、あの世の天国も、天国の定義は同じ。
「行っても、また元の世界に戻ってこないといけない場所、それが天国。」
यथा इह, तथा अमुत्र।
yathā iha, tathā amutra|

「ここ(इह [iha] )で通用するロジックは、あちら側(अमुत्र [amutra])でも通用する。」

という時などに使われます。


サンスクリット文法的説明


ここからは文法のお話。===

इदम् という代名詞を第7格(~において)で活用すると、

अस्मिन् 7/1 , अनयोः 7/2 , एषु 7/3  

と原形からはとてもかけ離れた形になります。

覚えるのが大変ですね。

もっと簡単な方法があります。

それは、「त्र [tra]」という接尾語を、代名詞の後ろにくっつけてしまえば、

第7格の意味はそのままに、活用しなくていい形(indeclinable)になるのです。

इदम् + त्र [tra]
= इह

って、これも原形を留めずに形が変わっているのですが。。。

そんなもんなんです。

以下のように、

代名詞+त्र [tra] 

で、様々なindeclinable(活用しない、簡単な名詞)が作れるのです。

サルヴァ(सर्व [sarva]) 代名詞. 全て
サルヴァットラ(सर्वत्र [sarvatra] indeclinable.) 全てにおいて

エーカ(एक [eka]) 代名詞. ひとつ
エーカットラ(एकत्र [ekatra] indeclinable.) 一箇所で

アンニャ(अन्य [anya]) 代名詞. 別の
アンニャットラ(अन्यत्र  [anyatra] indeclinable. )別の場所等において

タド(तद्  [tad]) 代名詞. それ
タットラ(तत्र [tatra] indeclinable.)そこ

ヤド(यद्  [yad]) 代名詞. それ(関係代名詞)
ヤットラ(यत्र  [yatra] indeclinable.) そこ (関係代名詞)

エータド(एतद्  [etad]) 代名詞. これ
アットラ(अत्र  [atra] indeclinable.) ここ
 
=== お勉強になりました。

全て頻出単語なので、サンスクリット語を勉強されている方は、メモっとくと良いですよ!




=== इह [iha] が使われいる文献 ===

タットヴァボーダ


इहामुत्रार्थफलोपभोगविरागः।
ihāmutrārthaphalopabhogavirāgaḥ|

”この世においても、あの世においても、

享楽や快適さといった結果を楽しむことについて

それらは、一時的なものであって、

本質的なものは与えてくれない、

ということを見抜いている事”

世界中の、天国に行くためにがんばってる人達は皆、

この本質が見抜けていないんですね。

科学や文学などで活躍している知的な人も沢山いるのに、、、。

明晰な頭脳に、天国行きを願うgullibleさが共存できるのは、

とても不思議です。



ケーナ・ウパニシャッド2章5節


इह चेदवेदीदथ सत्यमस्ति न चेदिहावेदीन्महती विनष्टिः ।
iha cedavedīdatha satyamasti na cedihāvedīnmahatī vinaṣṭiḥ |

”この世で(人間として生きている間に)(それを)知ったならば、

人間としてのゴールは達成された。

もし知ることが出来なければ、失うものは巨大だ。”


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この宇宙全て、私の身体も心も含めて、ここにある全ては、
「これ」と指をさせる対象物。
私はそれを対象化している、永遠の意識的主体。



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唯一、絶対確実で信頼できるもの、
それは、この宇宙の法則。

その宇宙の法則に安心して委ねて生きる智慧を
教える為の言葉が、イーシャです。