2014年2月17日月曜日

13.エーヴァ(एव [eva])- ~だけ、~のみ

एव 
[eva] 

indeclinable - ~だけ、~のみ




エーヴァ(एव [eva] )は、とても頻繁に使われる言葉のひとつです。

この言葉は活用変化しません。

活用変化しない言葉は、アッヴャヤ(अव्ययम् [avyayam] )

と呼ばれます。

これは、一番最初の、अथ [atha] で見ましたね。

日本語では表現しにくい言葉ですが、意味は、英語の「only」に近いと言えます。

日本語だと、~だけ、~のみ、となりますが、

強調の意味も含まれています。

カテゴリカリーには言えませんが、

エーヴァ(एव [eva] )には3つの意味があると言われています。

その音自体が吉兆とされる、ほら貝

1.それしかあり得ない



よくある例:

「ほら貝(शङ्खः)は白色(पाण्डुरः)と決まっている」
शङ्खः पाण्डुर एव
śaṅkhaḥ pāṇḍura eva |

白色以外の可能性を打ち消すために、エーヴァ(एव [eva] )が使われています。
(अयोगव्यवच्छेदबोधक एवकारः)


2.同じ種類のものが沢山ある中で、これこそが


よくある例:

「アルジュナ(पार्थः)こそが、弓を持つ者(धनुर्धरः)と呼ばれるべき」
पार्थ एव धनुर्धरः ।
pārtha eva dhanurdharaḥ |

アルジュナとは、バガヴァッド・ギーターの主人公で、
クリシュナから教えをもらう戦士です。

アルジュナでなくても、誰でも弓を持つことが出来ます。
弓を持つ者が大勢いる中で、アルジュナこそが「弓を持つ者」という名にふさわしい、
ということです。
(अन्ययोगव्यवच्छेदबोधक एवकारः)


3.なかなか起き得ない事が起きている


よくある例:

「青い(नीलं)蓮の花(सरोजं)は有ります」
नीलं सरोजं भवति एव
nīlaṃ sarojaṃ bhavati eva |

「聞く人の考えでは、青い蓮の花など有り得ない」ということを、
話す側の人は知っているのです。
「いえ、そんな事はありません。青い蓮の花はありますよ!」
という時に、エーヴァ(एव [eva] )が使われます。
(अत्यन्तायोगव्यवच्छेदबोधक एवकारः)

コインバトールのアシュラムにはよく咲いています。青い蓮。

「エーヴァ(एव [eva] )には3つの種類がある」という知識が、

直接役に立ったと思える機会がまだないのですが。

これは、プージャ・スワミジに教えてもらった知識では無いので、そのせいかも知れません。


また、エーヴァ(एव [eva] )は、पादपूरणम् [pādapūraṇam] といって、

文字数の決まった詩節を完成させる為に、足りない数の埋め合わせにもよく使われます。

この知識はよく役に立っています。

プージャ・スワミジから教わった知識だからでしょう。

無駄な事を教えないスワミジってやっぱりすごい!


== एव [eva] - エーヴァが使われている文献 ==

チャーンドーギャ・ウパニシャッド 

6章2節1句

एकमेवाद्विटियम् ।
ekamevādviṭiyam |

ひとつ(एकम् [ekam])のみ(एव [eva])、

ふたつ目は無い(अद्वितीयम् [advitīyam])。

とても有名な一句です。

ひとつしか無くて、何かいいことあるの?

世の中には無数の形や色や出来事があるのに、なんで、ひとつしかないって言えるの?

ふたつ目は無くても、三つ目はあるの?

単純な質問なようですが、その答えには人間として知るべき、重大な事実があるのです。

答えについては、何かの機会にゆっくりお話出来たらいいです。


バガヴァッド・ギーター 13章8節


इन्द्रियार्थेषु वैराग्यम् अनहङ्कार एव च ।
indriyārtheṣu vairāgyam anahaṅkāra eva ca |

感覚器官の対象物への興味や執着は、精神的成長によって無くなり、
我こそがというエゴも無く、、、

ここでの「エーヴァ(एव [eva] )」は、先ほどのपादपूरणम् [pādapūraṇam] というテクニックで、詩節の文字数を満たすために有るだけで、意味はありません。







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